(巻三十一)鳥渡る歪む三角たてなほし(蓬田紀枝子)
(巻三十一)鳥渡る歪む三角たてなほし(蓬田紀枝子)12月19日日曜日晴天無風の朝である。新聞紙、文庫本、空缶、ペット瓶などを廃品集積場所に持って行く。すでにかなりの本が持ち込まれている。タイトルから推し測るに専ら90年代の“How To”...
View Article(巻三十一)チューリップ花びら外れかけてをり(波多野爽波)
(巻三十一)チューリップ花びら外れかけてをり(波多野爽波)12月20日月曜日2時に高輪で約束があり、早めに家を出た。先ずはJR有楽町駅構内の大黒さまに詣でて今年の一病息災を謝すことにする。経路は色々あるが千代田線直通で日比谷駅まで行き、JR有楽町駅まで歩いてみることにした。亀有駅を1204時の電車の先頭車両に乗ったが、ところどころの吊革に人がいる程度の混み具合であった。1231時ころ日比谷駅に到着。...
View Article(巻三十一)旅にして戎祭と知る人出(高柳和弘)
(巻三十一)旅にして戎祭と知る人出(高柳和弘)12月21日火曜日午前中は細君が裾直しを頼んだスラックスを受け取りに外出したので静寂のなかで過ごせた。帰ってくればうるさくなる。スラックスに合わせてセーターを買ったとかで試着して見せにきた。「何を着ても君は綺麗だねえ~。」とコメントしておいた。本心、貴人、麗人、別嬪、美人、並みの上、中、下、ブス、チンケ、コマギレの10段階評価なら、並みの上くらいだとは思...
View Article(巻三十一)箱根こす人も有るらし今朝の雪(芭蕉)
(巻三十一)箱根こす人も有るらし今朝の雪(芭蕉)12月22日水曜日台所の蛍光灯が明滅しはじめて蛍光管と点灯管を取り換えた。身長が縮んだせいか、天井になかなか手が届かず苛々する。気がつけば妻も縮んだ寒厨(米澤たもつ)交換用の点灯管を生協に買いに出かけたとき、午前の温かな陽を浴びている老猫を見かけた。スナックをあげようとポケットをモゾモゾしているところに同じ棟に住むおばさんが猫の餌を持って現れた。どうや...
View Article(巻三十一)己が傷を舐めて終りぬ猫の恋(清水基吉)
(巻三十一)己が傷を舐めて終りぬ猫の恋(清水基吉)12月23日木曜日昨晩は寝酒にショッツを3杯もやったせいか、朝方喉か渇いて目が覚めた。1杯かせめて2杯にしておこう。細君がまた急須を割った。買い物から帰って、何やかやと冷蔵庫にしまっていてまた壊した。薔薇咲くや生涯に割る皿の数(藤田直子)生協は正月は一日と二日を休むらしい。去年今年と随分儲かったらしいからあくせくしないのだろう。そんな中、12月の初め...
View Article(巻三十一)余りにも一所懸命みずずまし(橋本栄治)
(巻三十一)余りにも一所懸命みずずまし(橋本栄治)12月24日金曜日コールスローサラダとサーモンチャウダーと鶏を焼いたものが我が家のクリスマス・イブ・ディナーの定番で、午前中にサラダとチャウダーを手伝った。チャウダーなどのレシピは三人前で残っていて、三人前で作っている。老二人には作りすぎになりそうだ。午後は歯医者に行く。バス停に差し掛かったところへバスが来てしまい、誘惑に負けた。串二本分だ。歯医者を...
View Article(巻三十一)夏の月あらしのあとの余り風(藤田あけ烏)
(巻三十一)夏の月あらしのあとの余り風(藤田あけ烏)12月25日土曜日掃除と洗濯。昨晩の残りの鶏とチャウダーで昼食。細君に昔はモテたんだろうね、と振ってみたら午前中ず~とその話になった。土産物を置いていった奴、会社の出口で待っていた奴、などなどが居たとのことだ。「こんな俺だけど」と言った奴もいたそうだ。で、結局「もっと感謝しなさい。」でやっと収まった。午後は散歩。曳舟川を遡り、駅前公園から駅前、そし...
View Article(巻三十一)年立つて耳順ぞ何に殉ずべき(佐藤鬼房)
(巻三十一)年立つて耳順ぞ何に殉ずべき(佐藤鬼房)12月26日日曜日過日食品流通業界の方とお話したとき、業界の景気の好さをうかがったが、スーパーもウハウハなのであろう。広告も多いが来年は元日、二日のお休みは当たり前で、三賀日を丸々休むスーパーも出てきたようだ。その生協に出かけた細君が千両と水仙を買って帰った。花の置場所がないので花瓶に入れたところを一撮したが、こんなところを撮られては困ると申す。見る...
View Article(巻三十一)花の咲く木はいそがしき二月かな(各務支考)
(巻三十一)花の咲く木はいそがしき二月かな(各務支考)12月27日月曜日細君に依れば当地は45年ぶりに12月中の氷点下を記録したとのこと。45年前と聞くとすぐにあの頃は云々となる。20代の後半に入らんとする頃か。床屋へ行く。10時開店に合わせて行ったがシャッターの前に一人待っていた。2番手でやってもらっているところに一人入ってきた。そこそこ客は来ているようだ。寒いが空は綺麗だ!空気は冷たいが風がない...
View Article(巻三十一)どちらかと言へば猫派の日向ぼこ(和田順子)
(巻三十一)どちらかと言へば猫派の日向ぼこ(和田順子)12月29日水曜日掃除と洗濯をした。昨日、一昨日とdictationをサボったので今日の午前は身を入れて聞き取りに励み、BBC World Service - CrowdScience, What’s the best way to...
View Article(巻三十一)身の丈のカーテンを引く世紀末(摂津幸彦)
(巻三十一)身の丈のカーテンを引く世紀末(摂津幸彦)12月30日木曜日鶏肉もも、鶏肉むね、鶏肉雑煮用などを買いに生協へ参る。花屋さんの前には正月用の花が満開である。戻るとおせちを作っている細君が味見をいたせというので先ずは田作りを頂く。普通に旨し。続いて紅白膾を試食いたしたが酢が全く効いていない?その旨申し上げると細君も試食し、おかしいと気付いたようで、酢と料理用ワインを間違えたようだ。それはそれで...
View Article(巻三十一)鳴くまでの手順を踏みて法師蝉(高澤良一)
(巻三十一)鳴くまでの手順を踏みて法師蝉(高澤良一)12月31日金曜日牛肉、刺し身、金柑を買いに駅下のBeansに出かけた。10時半くらいのマーケットはごった返していてレジへの誘導員が出ていた。肉屋ではすき焼き用の肉を300グラム強買ったが声を張り上げて注文を取ってもらう有り様である。十二月肉屋に立ちて男の背(正木浩一)目指した真鯛の刺し身は売れ行きがよかったようでもう残り3、4パックでそれもみな2...
View Article(巻三十一)下萌や警察犬は伏して待つ(岡野洞之)
(巻三十一)下萌や警察犬は伏して待つ(岡野洞之)1月1日土曜日目の覚めるところで覚めてお元日(鷹羽狩行)ということで夜中に目覚めることもなく、滑り出しのよい元朝を迎えました。いつものようにお越しにきた細君も特段グタグタ云わずに寝床に戻って行ったので平穏な元朝でありました。顔本を開きますと、ドギー、アノタイ、アンドリューから年賀が入っていて、皆さんには“AKE OMEa happy new...
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