(巻二十五)小遣を少し残して二月果つ(吉倉紳一)
(巻二十五)小遣を少し残して二月果つ(吉倉紳一)5月26日火曜日細君は二ヶ月ぶりに美容院に出かけた。伸びた髪だけでなく頭頂からスカルキャップのように円形に広がる白髪にも困っていたようだ。昼過ぎにスッキリとカットし白髪染めして帰宅した。マスクの紐が掛けやすい耳周りのカットだそうである。美容師さんによれば急に予約が増えたとのことだ。南風や化粧に洩れし耳の下(日野草城)そういうわけで、あたしは賞味期限の切...
View Article(巻二十五)遺言のように砂吐く浅蜊かな(佐藤洋子)
(巻二十五)遺言のように砂吐く浅蜊かな(佐藤洋子)5月27日水曜日気がつかないうちに銀杏の若葉は大きくなってしまった。月に一度の検診に駅前クリニックへ行った。腎・泌尿器系の専門クリニックだから普段も込み合うということはないが今朝は私だけだった。院内の開けられる窓や扉は開けられていて実に風通しがよく、明るい。ビル風と云へど五月の風にして(横川満)先月違和感を感じて、お願いして採血してもらったのだが、結...
View Article「『赤い館の秘密』の秘密 - 赤川次郎」文春文庫 青春の一冊 から
「『赤い館の秘密』の秘密 - 赤川次郎」文春文庫 青春の一冊 から昨今のオペラブームは大変なもので、ここ何年か、毎年のように、欧米からのオペラハウスの引越し公演があり、 - それも二つも三つも -...
View Article(巻二十五)回るほど色を失ふ風車(谷口一好)
(巻二十五)回るほど色を失ふ風車(谷口一好)5月28日木曜日今日は結婚記念日である。ではあるが特に何もしない。夕食は珍しくも牛肉(小間切れ)で肉じゃがであったが、だからと言うことではない。「天気は良かったわね。」と言うので覚えてはいるらしい。歳を重ねるにつれて、益々相方としてはよかったなと思う。そして先に逝かないとまずいと思う今日このごろである。今日もまた叱る妻ゐて家涼し(永井良和)朝のうちに冬物を...
View Article(巻二十五)大音に落ちたる梨の怪我もなし(平畑静塔)
(巻二十五)大音に落ちたる梨の怪我もなし(平畑静塔)5月29日金曜日義妹からお昼時に空を見ろと電話が入った。こちらは先のことを心配して鬱々としているのにあの一家には何千ピースのジグソウパズルで遊び空を仰ぐ余裕がある。実に羨ましい。「あの家にはいずれお世話になるんだから、言われた通りに空を見て話を合わせましょう」と言って細君は私を連れてベランダに出た。鰯雲飛行機雲を許したり(蛭子停雲子)しかし、我が身...
View Article(巻二十五)献立の手抜問はれし花疲れ(岡田順子)
(巻二十五)献立の手抜問はれし花疲れ(岡田順子)5月30日土曜日家事掃除と毛布干し。散歩と買い物午後の散歩を午前に変えた。途中のコンビニ珈琲をアイスに変えた。図書館の前を通り掲示物を見たが再開についての貼り紙はなかった。6月2日から開くのか開かぬのか分からない。本日三千三百歩。生協で米二キロを買い、あの高いマスクの売れ具合を検分した。売れていない。午前中に散歩をしてしまうと、紫陽花の午後はさしたる用...
View Article(巻二十五)朝顔の行く手つかめぬ蔓の揺れ(小林千代子)
(巻二十五)朝顔の行く手つかめぬ蔓の揺れ(小林千代子)5月31日日曜日散歩と買い物午前中の散歩で半径二キロの棲息圏で最も広い公園、交通公園に向った。公園には若い夫婦の子ども連れが多い。二、三才児の手頃な遊び場なのだろう。リハビリ病院では外での歩行練習を再開したようで、看護師に付き添われて用心深く歩く患者さんを見掛けるようになった。そうそう、パチンコ屋も始めたようだった。それぞれに人々は活動しているな...
View Article(巻二十五)欲しきもの買ひて淋しき十二月(野見山ひふみ)
(巻二十五)欲しきもの買ひて淋しき十二月(野見山ひふみ)6月1日月曜日順番で今日は十二月の句になってしまった。六月が来てだらだらと物を食う(田中朋子)家事洗濯をした。雨模様で室内に干した。毎日風呂掃除をしているが、風呂場の汚れを拭き落とすのが面白い。毎日少しずつではあるが元に戻っていく。今日は入口扉上段のアルミサッシを磨いた。団地の浴室だから窓はなく、天井も低い。六面のほぼ全てがプラスチックである。...
View Article(巻二十五)一瞬に残塁ふたり野分めく(能村研三)
(巻二十五)一瞬に残塁ふたり野分めく(能村研三)6月2日火曜日散歩と買い物細君が外出したので夕飯の弁当を買いに駅前まで出かけた。途中で図書館を覗いたら再開していた(写真)。利用時間30分以内との制限はあるが書架まで行けた。利用者は疎らである。新聞雑誌コーナーの椅子は使用できない。閲覧室が開いているのかどうかは確かめなかった。雑誌コーナーで角川俳句の3月号を取り出し貸出しを受けた。持ち帰り書き留めた句...
View Article(巻二十五)七月のつめたきスープ澄み透けり(日野草城)
(巻二十五)七月のつめたきスープ澄み透けり(日野草城)6月3日水曜日散歩今日も図書館をのぞいた。よく見ると新聞雑誌コーナーの椅子も間隔を空けて座れるようにはなっていた。武骨に殺人現場のような遮蔽テープが張られていたので全て着席禁止と誤解した。書架でだらだらと本を捲っていたら、“本選びはさっさと致せ”との趣旨の狙い打ちの放送を掛けられた。しぐるるや捜査本部の午前四時(富士原志奈)今日は角川俳句の4月号...
View Article「死にたいする態度 - 水野肇」中公文庫 夫と妻のための死生学
これまでも、しばしば説明したように、私たちはガンか心臓血管系の病気か事故かで死ぬことになった。きわめて例外的に老衰というのがあるが、これは一〇〇人に一人ぐらいしかない。老衰とは、バランスよくからだ全体がうまく老化して枯木が倒れるように死ぬというもので、ある意味では理想の死に方かもしれない。こういう死に方では、脳も老化して“もっと生きたい”とは思わぬようになっていることが多いといわれる。死に方のなかの...
View Article(巻二十五)年よれば疲れもをかし更衣(炭太祇)
(巻二十五)年よれば疲れもをかし更衣(炭太祇)6月4日木曜日散歩と買い物六月になり御言葉も変わっただろうと思いお寺の前を通ってみた。本日三千三百歩生協で買い物をした。バターが相変わらず欠品気味である。菓子・煎餅・つまみ・酒を買おうと思えば買えるのだが、口に入れたいという気が起こらない。顔本でシェアーされている原さんのブログによれば、原さんは緩和のために入院されたそうだ。当節、ガンの苦痛はかなり軽減さ...
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