全長:五十八センチ
学名:Nycticorax nycticorax
季節:夏
流れのそばにじっとたたずみ、魚を狙う鳥。ゴイサギです。魚が跳ねると電光石火の早業で首を伸ばし嘴でつかみ取ります。このような採食法は多くのサギ類に共通しています。
五位鷺とは変わった名前ですが、これは興味深い伝説に基づいた呼び名です。出典は『平家物語』で、その巻第五にあるこんなエピソードです。
「延喜の帝(醍醐天皇)が庭園を散策していた時、池のほとりにいた一羽の鷺を見つけ従者に捕獲を命じました。歩み寄ると鷺は逃げるそぶりを見せたので、従者がすかさず「宣旨であるぞ」と言ったところ、鷺はひれ伏して逃げず、容易に捕まりました。帝はこの鷺を「殊勝である」として直ちに五位の位を授けたのでした・・・」(大意)
この話は朝廷の権威を伝える一つの逸話です。宣旨とは天皇の命令のことで、五位は宮中に入ることが許される高い官位です。ゴイサギは、官位というはるか昔の律令制の用語が現代でも和名として生かされている唯一の鳥なのです。