(巻三十二)本棚に決まる本の座福寿草(津川絵理子)
2月28日月曜日
細君は気晴らしに金庫の点検に出かけた。私は机で昨日借りた角川俳句2月号を捲り、
俳人筋からは
秋霖や覚めぬ眠りという眠り(宇多喜代子)
行つたかも知れぬバス待つ春夕べ(茶谷静子)
水温むわが町知らぬことばかり(大元祐子)
花開くよきことのみを日日の糧(加藤耕子)
投稿句からは
そのうちに捨つる木の実を拾ひけり(中島正則)
身に入むや身をはなれゆく身のこなし(廣中ひろと)
野良猫を好な名で呼ぶ十三夜(矢野はるみ)
あのひとの最後のわたし冬支度(杉田久子)
入院のひとり旅めく秋の朝(佐々木慈子)
を書き留めた。
いずれの句も意味深長と読んでいる。
例えば、
入院のひとり旅めく秋の朝(佐々木慈子)
わたしなどもバックパックに下着や洗面用具、文庫本に句帳、ICレコーダーなどを詰め込み病院へ向かう。ひとり旅の旅支度だ。だが、これが死病での入院なら独り旅への出発だ。
午後の散歩は亀中から曳舟川を歩いた。曳舟川のどん詰まりで“ときわ”の大将とばったり会った。公園のベンチへ座りしばらく歓談。店を閉めたいきさつや今の様子、健康の事など30分ほど話した。散歩が仕事でプラネタリウムのところまでの往復だそうだ。散歩のあとは孫の保育園からのお迎えだそうだ。
願い事-生死直結でお仕舞いにしてください。コワクナイ、コワクナイ。
眠るが如く逝ければなんとありがたいことだろう。治療とか延命で無理をする歳ではない。
Life is a small gap between birth and death, and everything will fall into place.
緩和は是非とも‼