(巻二十九)わが旅も家路をさしぬ都鳥(下村梅子)
5月7日金曜日
昼頃戻ってきた細君に拠れば連休明けのクリニックは客を追い返すほど混んでいたらしい。明日も混むらしいので明日に予定していた血圧検診は月曜日に延期しよう。
午後の散歩は駅前まで脚を延ばした。喫煙場の側を通ったが、吸いたい気持ちも起きず通り過ぎることができた。
露の世の酒と煙草を断つ余生(赤川静帆)
積極的に断つと云うわけではなく、呑みたい吸いたいという気持ちが消えてしまった。
片道はバスのお世話になったので本日は三千九百歩で階段は2回でした。
願い事-叶えてください。オメオメと医者に通っておりますが、叶えてください。
荷風は戦前はよく医者通いをしていたが、戦後は勧められても医者に行かなかった。死に急いでいたわけではないようだが、どこかで歯車が切り替わったのだろう。
一枚の落葉となりて昏睡す(野見山朱鳥)
生命だから終わりが来るときは来る。それでよい。死にたいわけではないし、死は怖いが、どうしても生きていたいという強い思いはない。身体が不自由になり、精神的には鬱と不安に苛まれながら厄介者として二年三年と生きていたくはない。それを避けられるなら今でもいいと思っている。
うかうかと生きて霜夜の蟋蟀(二柳)
死に方についての希望はないが苦しみたくはない。病死であろうが、事故死であろうが、苦しみが短く少ない死が願いだ。死ぬときは安楽が尊厳に優先だ。
即死ゆえ苦痛なかりし人と言ふ
死にしことなき者はかく言ふ(高野公彦)
死んでしまえば、
死後などはなし凍裂の岳樺(高野ムツオ)